1 + 1/2 + 1/3 + 1/4 + 1/5 + ...
和が有限になる例として、1/4 とそのべき乗 (2 ~ ∞) の和を考えてみよう。
1/4 + 1/4×1/4 + 1/4×1/4×1/4 + ...
= 1/4 + 1/16 + 1/64 + ...
これは、よく知られているのだが、1/3 に収束する。有限である。
四角い正方形のケーキを3人で分けることを考える。
なかなか幅 三分の一 で切るのはむずかしい。
そこで縦横に切って、四つに分割する。
3人なので、そのうちの3つをひとつずつ取る。
すると、1つ1/4にしたのが残る。
そこで、これも同じように縦横に4分割する。
3人なので、そのうちの3つをひとつずつ取る。
で、また1/4の1/4が残る。
これも同じように縦横に4分割する。
すると、……
ということで、1/4+1/16+1/64+... を3人で分けて食べることができたということである。
そこでこの考えを広げてみる。
つぎつぎとプラスする部分そのものはどんどん小くなってゆくその操作を無限に繰り返して、いつも全体は有限に収まるのだろうかという問題。フランスのNicole Oresme が証明したのは、1350年のことだった。
日本では、室町時代で南朝になって10年が過ぎた頃で、昔々のことである。
この証明が驚異的にシンプルであったことはよく知られているが、次のようなやり方である。
1/2
1/3 + 1/4
1/5 + 1/6 + 1/7 + 1/8
...
上のような行に分け、行単位でたし算をする。
1行目を、1/2の項ひとつだけにし、次の行になると項の数が倍になるようにならべる。
すると、1/3 は 1/4 よりも大きいから、1/3+1/4 は 1/4+1/4 よりも大きくかつ、1/4+1/4 = 1/2 だから この2行目の和は、1/2よりも大きいことになる。
さらに3行目は、1/8+1/8+1/8+1/8=1/2 よりも大きく、4行目以降も同じように1/2よりも大きいことがわかる。
さらに、1/2+1/2+1/2+... は、有限和ではなく無限大へと発散することはあきらか。
したがって、
1+1/2+1/3+... > 1/2+1/2+1/2 = 無限大
になり、自然数の逆数の和は、無限大へと発散する。
Q.E.D.
さて、ここまではふつうのことであんまりヘぇーというほどでもない。
つづく、